直感的には、一度読んだときに大事なところを色ペンで目立たせておき、後で見返したときに全てを読まなくて済むようにするためだと理解できます。
しかし、なぜ「目立つ」のでしょうか?どうやら脳、神経科学的には決着が一応ついているらしいのです。
人間の目、そしてその信号を受けた脳は「見る」ことを実現する上で様々な処理を行っています。
例えば、人の脳には直線、斜線、水平線それぞれの刺激(対象物)に独立に反応する脳細胞があります。直線を見たときは、直線に対応する脳細胞のみが反応し、斜線と水平線は反応しません。「A」という文字を「見る」時は、斜線と水平線に対応する脳細胞が反応することで「Aを見る」ことを実現しているのです。
また色においても同様で特定の色(実際には輝度と思われます)にのみ反応する脳細胞が存在します。
これらの脳細胞が連合しあうことによって我々の豊かな視覚は実現されているのですが、その「見る」を超えた反応も我々は日常的に行っております。
例えばボールが飛んできたら避ける。あるいは受け止める。しかも自分の方向に向かってきたボールのみに対してそういう反応を行うのです。野球場のライト席にいるときレフト席に飛んでいくボールにはそのような反応はとりません。
人は、コントラストの強いもの、色の明るいものを優先に処理する機能を備えています。具体的には、「そういったものが自分に対して近いところに存在する」と認識することで優先的に処理されるようになっているのです。例えば、交通標識などがコントラストの高い配色で作られているのも同じ理由です。近いものを優先的に処理するのは、近いものほど、自分に影響を与える可能性が高いので進化的に理にかなっているという事です。
教科書の重要な箇所に線を引くことによって、そこのコントラストが高くなります。それによって「自分に近いところにある」という認識が実現され、「深く処理しなければ」という判断が行われます。深い処理を行うことによって色の引かれたところは意識上では「目立つ」ようになりますし、意識下においても深い処理のおかげでよく覚えられるようになるようです。
小さい頃から何気なく行っているようなことでも、じつは非常に理にかなった行動をとっていたのですね。
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