2010年03月12日

天才に必要なものは努力 ―スピードスケート清水宏保から加藤条治へのメッセージ

 前々回のエントリーで浅田真央とキムヨナの二人の天才について書きましたが、今回は、スピードスケート500Mで人類初の34秒台を出した清水選手が、バンクーバー五輪で銅メダルを取った加藤条治選手へ宛てたコラムを紹介したいと思います。

 僕の説明なんかいらないから実際のコラムを読みたいという人は、このエントリーの一番下へどうぞ。


 そのコラムは次の文章で始まります。
条治よ、悔しさがだんだんこみ上げてくる銅メダルではなかったか。
オリンピックでメダルを取った選手にこんな書き出しでコラムを書ける記者がいるでしょうか。それは自身の世界記録を四度塗り替えた清水選手だからこそ言える言葉だと思います。

 その次に、銀メダルと銅メダルの違いについて語ります。銀メダルは金メダルを取れなかった「悔しさ」を残すメダル。銅メダルは表彰台に上れたという「財産」が残るメダル。その上で、
条治、君は違っただろう。
と清水選手は続けます。

 「負けた」原因ははっきりしている、と前置きした上で、はっきりと「スタミナ切れだ」と切り捨てます。

 そして、加藤選手との会話を振り返ります。
僕は君に言われたことがある。「清水さん、あんなにつらいトレーニングをやらなきゃいけないなら、僕スケートやめます。楽して金メダル取りたいですね」。
そして清水選手は
腹もたたなかった。失礼だとも思わなかった。ある意味で、君は天才だから。コーナリングは僕が教えを請うほどの能力を持っていた。
と言います。

 加藤選手に足りなかったのは練習。なかんずく500Mで金メダルを取るための1000Mの練習だと言います。本番どおりの練習では絶対に勝てない。本番以上の、死ぬ思いで行う練習をやって、世界の頂点に立てる、そう清水選手は加藤選手に伝えたいのだと思います。自ら「失神寸前まで自分を追い込むトレーニング」をしていたと言える清水選手の言葉だからこそ、重みがあり、説得力があります。

 コラムの最後で清水選手の加藤選手への期待がつづられています。
銅メダルで満足していないはずの君だから、言う。4年後金メダルを手にするには練習方法の変更が必要だ。栄光のメダリストに対して、あえて厳しく書いたことを許してほしい。


 四度世界記録を塗り替え、人類初の34秒台を出し、金メダルにも輝いた清水選手の背景には、言うまでもなく文字通りの死ぬ気の努力があったことでしょう。そんな清水選手だからこそ、メダルを取れることがどれほど困難でどれほど素晴らしいことであるかはよく分かっていらっしゃるのだと思います。

 その上で、加藤選手に期待するからこそ、厳しいことを言う。清水選手を置いて、他の人には絶対に書けないコラムだなと思います。

 バンクーバー五輪後、加藤選手は記者に、こう宣言しています。
「次は世界新記録を狙いたい。33秒台を、世界で一番最初に出す」
目標の人の期待に応えるため、人類初の33秒台を目指して25歳の若き天才が始めた努力は、4年後にまた大きなものを僕たちに教えてくれそうです。


 以前のエントリーでキムヨナ選手の「自分は普通の選手」という自覚と、「完璧な準備」と「努力」への信頼について書きました。

 負けた人と勝った人を比較しようというのではありません。オリンピックに出ること自体がとても素晴らしいことだし、しかもメダルを取るということは間違いなく世界のトップに立つということだと思います。しかし、そのトップの中のトップに立つ人間には同じメンタリティー、つまり「努力への信頼」があるのではないかと感じさせるものがあります。


【関連記事】
バンクーバーオリンピック―コラム「条治よ 悔しかったか」[URL](外部サイト)
デイリースポーツ「加藤次は世界新「33秒台出す」[URL](外部サイト)
二人の天才―浅田真央とキムヨナ―


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posted by ごとうp at 12:45 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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