2011年07月15日

心理学研究に見る「当たり前の結果」

 心理学の研究とは一言で言えば「人間についてよりよく知ること」なんですが、研究者であれ一般の人であれ「人間についてよりよく知ること」はできます。

 そのため、「それって当たり前じゃないですか?」と思われるようなことが心理学の最新の論文に載ることがあります。

 そのような事例を1つ取ってきて、「心理学は既に分かっていることを確かめなおす学問」とか、「心理学に発見は無い」や、もっとざっくり「心理学の研究対象はつまらない」なんて批判がされることがあります。

 しかしながら「既に明らかになっている事柄は論文には載らない」という科学の当たり前のルールを知っているならばこの批判が妥当でないことはすぐに分かるはずです。

 では、なぜ「当たり前に見える結果」が最新論文に載るのでしょうか。

 まず一つに、近年の技術革新があります。MRIなどの医療器具を使った心理的発見はもとよりコンピュータの発達と低価格化がどんどん新たな実験方法を可能にしています。したがって「当たり前だと思っているけどいまだ誰も科学的に検証できていない真実」を明らかにする方法が生まれてきているのです。

 こういう事を言うと「やっぱり当たり前のことを確かめなおしているのか」と言われそうですが、「当たり前に見える結果」が最新論文に載る理由はもうひとつあります。

 それは、これまでに行われてきた研究に問題がある場合です。

 物理学ではたまに、「理論的には可能だが現実には存在しない」なんて表現を聞くことがあります。心理学や、他の学問でも同様ですが、実験を行う際は高度に統制された環境、つまり調べたい対象以外が影響しない環境を作為的に作り出します。それが実験室というものです。例えば心理学の実験では、参加者実験に参加している間、実験室の明かりを消すことがあります。また実験室の壁が防音になっており、実験刺激以外何も聞こえない状況で実験を行うこともあります。MRI検査を受けたことのある人なら分かると思いますが、MRIはすごい爆音の中で検査を行います。言ってしまえば「実験室は現実には存在しない場所」なのです。

 これまでの研究がそういった実験室で行われてきたために作為的に「当たり前でない結果」が生み出されていた場合があるわけです。これはどういう事というと、これまでの研究が「人間についてよりよく知ること」ではなく、「実験室にいる人間についてよりよく知ること」だった可能性があるという事です。

 つまり最新論文に「当たり前に見える結果」が出てきているという事は、心理学がより妥当性のある現実に重要なインパクを与える研究が出てきているという事なのです。もちろん当たり前ではない結果も最新論文には発表されますが、そういった「当たり前に見える結果」は心理学の妥当性を支持し、これからの人々に正しく適切な助言を与えうるものなのです。


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posted by ごとうp at 13:46 | Comment(0) | TrackBack(0) | message | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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